初風俗の失敗

  人生で5本の指に入る大失敗であった。失った金は二度と戻らず下衆共の懐を暖めるだけであろう。もし時を戻すことができたら喜んで途上国の子どもたちのため寄付しよう。
  夜七時、新年会を兼ねた飲み会の後エロガキ共3人(A、B、私としよう)で寒空の中すすきのへと歩いて行った。かの有名なニッカおじさんの看板がある南4条交差点までは東南アジアからだろうか多くの観光客で賑わっているがそこから南に二本ほど進むと空気は一変する。最北の繁華街が誇る風俗街である。前日に数時間かけてリサーチしていた私はまず、無料案内所でクーポンを貰った後お目当ての店に向かうつもりであった。が、ここで大きな誤算が生じた。お調子者のAが案内所前のキャッチに捕まってしまったのである。私は中に入ろうと言うもののホイホイとついて行ってしまった。連れて行かれたのはすぐ近くのソフキャバ。本州のキャバクラとは違いここでは嬢が横につくと脚をかけてきてダウンタイムに入るとおさわりができる、所謂おっぱぶ的な形式である。60分7000円、最初についた娘はまあ中の中といったところか。Aには茶髪のそれは当たりと言っても過言ではないだろう、大学にいたら2度見してしまうような可愛い娘がついた。彼は即場内指名していた。羨ましい。対面に座っていた私は終始その娘の胸の谷間をチラ見してしまった。二人目は打って変わって麻〇ももを少し肉付きの良くした感じの嬢が来てくれた。心のなかでガッツポーズである。そしてお待ちかねのダウンタイム。しかし何故か私は上に跨った女体に触れることなく会話するだけだった。どうして触らなかった。
  今思えばいい店につれていくことで警戒心を解くためだったのだろうか。店を出るとキャッチが待っていた。Aは男と楽しそうに話し、ヘルスに向かう流れになった。途中雑居ビルでトイレに寄り、案内されたのはテナントがすべて風俗というシティー〇〇〇ビルである。通されたのは一階にある「すすきの高級ヘルス」とペラ紙一枚貼られた私達3人しか座れない待合室である。嫌な予感がした。指名のため写真を見せられるわけでもなくキャッチに言われていた40分2万2千円と税として2千円、計2万4千円を払った。ポッキリじゃない、怪しいと感じたものの何故か払ってしまった。どうしてなのか。待ってる間10分ほど指名がないのは怪しいとか話していると私が最初に呼ばれた。太ったボーイに呼ばれて行くと何故か同じフロアの別店舗、店名はTwitterのフォロワーなら知っているであろうから伏せておこうナース系の店である。そこの待合室に通され、そこには3人組の客がいた。彼らは談笑し、期待に溢れた笑みを浮かべていた。その期待は見事裏切られたことであろう。
 そしていよいよ自分の順番が回ってきて奥にあるプレイルームに通される。「靴を脱いで上がってください」この言葉と共に目の前に現れたのはアラフォー、いやそれ以上かもしれない暗い顔したボブカットの女性であった。生まれてこの方20年童貞をやってきた。女性の裸も見たことがない。これはダメだ。2,3秒ほど静止した。「ちょっとトイレに行ってくる」と嬢いや、おばさんの制止を無視し受付に向かった。そして目の前にいたボーイにプレイせずに帰ることを告げ急いで靴を引っ掛け廊下に出た。ああ、とんでもない地雷店に入ってしまった、と。私は完全に憔悴していた。出口横の自販機で心を落ち着けようとボスの缶コーヒーを買う。出てきたのはコールド商品だった。マイナス5度は下回るこの北国で冬にもこのラインナップとはビル自体客を馬鹿にしてるのだろうか。外に出ると少し雪は収まっていた。私は大通り方面に虚ろな目をしてコーヒーを飲みながら歩いていった。普段はしつこいキャッチ達も何かを察したのか不思議と声をかけてこない。キャバクラに向かう前に分かれた友人二人組に合流するためラインした。居酒屋に入り事の顛末を話すと彼らは大いに笑い、ドンマイと励まされた。笑い話にしなきゃやってられない。30分後、AとBが連絡してくる。トラウマだと。札幌駅で合流したあと聞いてみると私がキャンセルした嬢Bに、Aには妊婦のような豊満な体をしたクリーチャーが来たという。可哀想なのでプレイ内容までは聞いていない。


  というわけで初めての風俗は敗北、いや不戦敗と言ってもいいだろう。私は完敗したのである。池袋のピンサロでリベンジを誓ったので気が向けば書くかもしれない。多分可愛い子がつけば特に報告することもないだろう。ブログのネタにならないことを願う